耐震補強と断熱リフォーム

京都市の外れにある築年数の古い家を買ったのは数年前のことだった。2人で色々物件を見てきて、場所や家を見てここに決めたのだ。築年数の古い日本家屋といっても、京都市や周辺の場合はちょっと事情が違う。外国人観光客などには和風の古いたたずまいが人気であるために、私たちのようなそこに住むだけで商売しようと考えてはいない人間にとっては、極めて割高になってしまうのだ。だから、少し郊外寄りで物件を探すことになる。

購入した家の周辺には、同じくらい古い家屋がいくつかある。空き家になっている家もあったが、色々手を入れて現役で頑張っている家が多い。私たちが購入した家のすぐ裏手には防風も兼ねた林が位置し、山に連なっていた。その光景が私たちを魅了したのだ。その山は美しく色鮮やかに紅葉した姿を見せていたのだ。庭には小さいけれど家庭菜園を楽しめそうなスペースもあった。

「耐震補強と断熱リフォームをやろう」この家にしようと決めた時、家の中を見回して主人が言った。「気候は変えられないが、住環境は改善出来るからな」私たちが多くの時間を過ごすことになるだろう板敷のリビングには、シート式の床暖房を敷き詰めることにした。窓は内窓を取り付けるかペアガラスに入れ替える。私たちはエアコンは好きではないので、暖房はガスのヒーターだ。

私たちが一番こだわったのがリビングに続く広い和室だ。襖などは取っ払って、木の仕切りを入れる。ここには大きなデスクが2つ入ることになる。ホームページの作成を仕事とする主人用、写真と文章作成を仕事とする私用。疲れたら身体を横たえることができるオットマン付きの椅子が1つ。窓の外に広がる鄙びた風景は私たちの疲れを癒してくれるだろうし、私はここから京都の魅力を発信していくことになる。私たちにはリフォームされたその姿が、既に見えていた。