やもりんタウンは住宅と不動産の総合情報サイトです

投資先としての不動産

「東京都心部のマンション価格は堅調に推移しています」ラジオのニュースが伝えるのを聞くともなしに聞きながら、私は花の苗木をどこに植えようかと思案する。コスモス、ビオラ、小菊など秋植えの苗が、目の前に並べてあった。肌寒くなってからの庭仕事は好きではなかったが冬場の庭に花の姿がないのは寂しいものだし、ビオラやパンジーの小さくて可愛らしい蕾がこの時期に見られないのはあり得ないことだった。

植えつける場所を決めると、頭の中に先ほどのニュースのフレーズがよみがえる。場所にもよるのだろうが、東京のマンション価格は大きく下落することなく緩やかに上昇を続けてきた。横ばいと言える時もあったが、基本的には上昇だ。東京に実際に住んでいればこうした不動産の市況を肌身を通じて感じられるのだろうが、残念ながら私は地方住まいだ。

ちょっと前までは、私はマンション市場について懐疑的な思いを抱いていた。人口は明らかに減少に転じている。空き家問題も顕在化してきていた。こんな中でマンションや賃貸を増やしてどうしようというのか。だから再開発やリノベーションを施しての物件ならば場所によっては興味をそそられたものの、投資先としての不動産にはネガティブな思いを抱いていたと言っていい。そんな私がどうした拍子にか、5階建ての小さなテナントビルを持ってしまったのだ。

積極的に持とうと考えたわけではない。母が持っていたのを引き継いだのだ。幸いなことに現在空室はないものの、これから年月を重ねるごとにリフォームや補修のことも考えていかなければならなくなるのだろう。もし空室が増えるようならインバウンドが過熱している内に相応の対応策を考えておきたい、そのことだけは心に決めていた。管理をお願いしている業者さんにも相談を持ちかけていた。まだ大丈夫だろうか?改めて、私は自分に問いかける。