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中古マンションのリノベーション

部屋はワンルームでもいいが、広い浴室とジャグジーもしくはミストサウナを設置出来る中古マンション、これが私が不動産会社に提示した条件だ。私はほぼ1日中部屋の中で過ごすことになる。パソコンがあれば出来る仕事だったから、場所にこだわらないと言えばこだわらない。けれども仕事の打ち合わせのことなどを考えると都心にアクセスしやすい場所であることが望ましかった。同時に自然に囲まれた環境であることも昔からの希望であり、譲れない一線だった。

1日中デスクに向かう仕事は、実は身体にとって良いものではない。肩も腰もガチガチに固まってしまうし、腰痛や視力の低下という問題を抱えることになる。だからそんな身体をほぐして労るために、リラックスして寛げる浴室という空間が必要なのだ。日本のマンションは分譲でも賃貸でもトイレや浴室がオマケのように小さい傾向があるが、それを承知の上でのわがままだった。

不動産会社の担当者から連絡が入ったのは、依頼してから1ヶ月ほどたった頃だった。市川市に希望に近い条件を備えた物件が出たという。とりあえず現地で待ち合わせをすることになった。そのマンションは市川市にあり、駅にも近い物件だった。そのマンションの最上階の角部屋がそれで、半端な分他よりも広かった。3LDKという間取りは自分には多すぎるのだが、取り払える壁を抜いてくれると言う。

1番の希望であった浴室だが、これは十分過ぎるほどだった。このマンションの持ち主が自分のために造ったのではないかと思うほどだった。足を伸ばして尚ゆとりのあるバスタブ、ミストサウナは無理だが、マイクロバブルを取り付けてくれるという。しかし驚いたのはそれだけではなかった。最上階は部屋数が少なくなっているために、庭があるのだ。

LDKから出ることが出来る庭はコンクリートだが、人工芝が敷き詰められていた。ここに植物やグリーンを配したら、素晴らしい憩いの空間になるだろう。仕事の合間に屋上ガーデニングなんて想像もしていなかったが、ハマりそうな予感がする。とは言え自分はお金を湯水のように使える身分でも何でもない。リノベーションの見積もり次第では、諦める事態もありそうだ。しかしこんな物件に出会うことはそうはないだろう。この部屋を手に入れるために出来ることは何でもする、私は自分にそう誓ったのだ。