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子供の独立後に模様替えを

私たちが結婚して間もなく建てたマイホームは、子供が成長して独立するとやけに広いものに感じられるようになっていた。2階に夫婦や子供の寝室を設けていたのだが、子供用の10帖の部屋がポツリと残り、使われることなくそこにあった。部屋は南を向いた陽当たりの良い空間だった。私たちの寝室を移動しようかとも考えたが、ベッドを動かすのは大変だったし見慣れた朝の風景から離れるのも淋しい。

「客用寝室なんて言っても、今とそう変わるわけじゃないしな」デッキに置かれたベンチに腰を下ろしながら、夫が呟いた。私はプランターに秋植えの苗を植え込みながら心の中で同意する。私たちにはそれぞれ趣味があって、私は庭いじり、夫は写真を撮るのが好きだった。休日になるとカメラを抱え、自然の美しい光景を捉えてはパソコンに落とし、加工したりしている。私はお弁当を作り、庭に出る。そういう穏やかな生活が好きだった。

「2階をあなたの書斎にしたら?」私はふと思いついて言ってみた。リビングの片隅に置かれたデスクで夫は作業していたのだが、陽当たりの良い広々とした空間で清々としてパソコンに向かう方が気持ち良いだろうと思ったのだ。夫は黙って頷いたが、何か迷っているようだった。「自分だけ書斎を持つというのもなあ」なあんだ、私に気兼ねしているのか。

「それじゃあ、デッキに隣接して小さな屋根付きのスペースを作ってくれると嬉しいわ」庭いじりの手を止めて、私はデッキのベンチに腰を下ろす。「ここに簡易でもいいから屋根付きのスペースがあったら、雨が降っても園芸作業が出来るし、タネや苗の育成にも使えるし」多分、こちらの手間はそうはかからないはずだ。「私が1番欲しいのはそれよ」良かったというように夫が微笑んだ。大きなリフォームではないけれど、子供を育てる役目を終えた私たちの家は姿を少し変えることになる。私たち2人だけのための空間に。