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引っ越し後の整理と不用品の処分

ようやく整理がついた部屋を見渡して、私は安堵のため息をついた。東京でのひとり暮らしから、転勤で地元近隣の支店へ。それで住んでいたアパートを引き払って、再び実家に戻って来たのだ。私が学生時代を過ごした部屋は改めて見ると子供っぽすぎて、とてもそのままでは使えない。両親に断った上でデスクやベッドなどは処分することにしたのだ。ひとり暮らしを経験したせいかもしれないが、私は再会した我が部屋の雑然ぶりに気が滅入ったものだった。

全巻そろったマンガ本や図鑑のたぐい、プラモデルや中途半端にコレクションした切手など。売れる物はリユースショップなどに持ち込んだ。学生時代に大切にしていたもので手元に残したのはギターくらいか。当時は夢中になっていたそれらのものに懐かしさがこみ上げないわけではなかったが、苦笑するばかりだ。時々居眠りをし、後にはパソコンに居場所を譲ったデスクも当時は自分の要塞のような意識でいたのに、今はシンプルでどっしりとした大きなデスク以外に考えられない。

デスクの中に仕舞い込まれた諸々も、今にして思うと幼稚以外の何物でもなかった。ほとんどがゴミ袋の中に吸い込まれていった。いったい、これらの物に費やされた時間や費用はどれほどのものだったのだろう。全てが無駄だったとは言わないが、当時の何が自分をあそこまで熱狂させたのだろう。不用品の処分の最大のものは、そのデスクとベッドだった。こればかりは業者に引き取ってもらうしかなかった。

その運び出しが済んだのが朝一番で、ようやくベッドとデスクの組み立てが終わり、ひと息入れていたところなのだ。先ほどから味噌汁の匂いがしきりに空腹を刺激してきていた。そろそろ母親が食事を告げることだろう。自分たちが買い与えた物が処分されていくのを、両親はどんな思いで見つめていたのだろう。でも、それよりも息子が再び戻って来た喜びの方が大きいはずだ。いや、そう思わせてみせる。